内装工事もいよいよ終盤。
というか、あとは什器の配列や掃除、洋服を陳列するのみ。
忙しすぎたこの数日を振り返りながら、
近くにあるワンコインの自販機で買ったコーヒーを片手に
皆で一服。
もう夜の十二時を回っていた。
毎晩毎晩遅くかかった内装工事もようやく終わりが見えてきた。
初日から想像がつかないくらいの変わりっぷり。
思えばよくここまでやったもんだ。
さーて、一服してゴミを捨てたら帰ろうか。
と、その時、
「看板は?」
コーヒーをいち早く飲み終え、
一人よくわからない自前の鼻歌を口ずさんでいた翼が口を開く。
しまった。
他の作業に気を取られすっかり忘れていた。
店の顔でもある看板。
実は今回の内装作業を始めるにあたり、
何よりも先に手をつけたのが、何を隠そうこの「看板」なのだ。
すぐに終わる作業かと思いきや、
思うように進められず、苦戦したが、
なんとか、残るは塗装と「SISTER」のロゴをのせるだけって所で
関根が「それは最後にしね?最後に看板やってお疲れ様でした〜的な感じで」の
言葉に共感し、「最後のお楽しみ」にとっておいたのだ。
一番おいしいものは最後に食べるのが癖になっている僕は
そのまま看板を放置し、他の作業に取り掛かっていた。。。
「そうだね、看板はすっかり忘れてた。
じゃあみんな、申し訳ないけどもう少しだけ付き合って。
何とか今日中にこの看板も仕上げたい。」
この時僕には最後の最後までとっておく余裕は無く、
やれる事はなるべくやって「安心」したかった。
とにかく時間が無い。
「おっけー。じゃあやりましょうか。」
みんなほんとごめんね。
そしてありがとう。
この一ヶ月、
何度心の中でこの言葉を繰り返しただろう。。。。
看板は店の屋根の高さと同じに位置に設置してある。
もちろん届かないので、昔「庭師」をやっていたじいちゃんから
借りてきた約2メーターくらいの高さの脚立を使って作業を再開した。
今回の内装では僕はほとんど塗装役に徹していた。
まずは見た目からってことで
春にカズ君のお店で買ったLeeのオーバーオールを引っぱり出し
ひたすら塗る、塗る、塗る、塗る。
ほぼデットストックといっていいくらい綺麗だった
このパンツも今やペンキでごっちゃごっちゃになっている。
この汚れも一つの勲章のような感覚で今や自慢の一本と呼べる
パンツになった。
「加工」じゃなくてリアルな汚れだもんね。
けっこう意識してわざと汚した箇所もあったが
知ったこっちゃない。
お店が完成したらレジの辺りにでも
「この店の内装中に穿いていたパンツ」
ってな感じで堂々と飾ってやろう。
時計の針が一時を回った。
二つある看板の内、一つが終わった。
もうこの時間になるとこの辺りは
飲み屋から帰る人がけっこう頻繁に通る。
歩行者に迷惑のないよう、邪魔にならぬよう脚立を置いて
二つ目に取り掛かかった。
二つ目は取り付けてある位置が微妙なので
塗装がとにかくやりづらい。
場所によっては、片足でギリギリで立ってようやく届く、といった感じ。
下からライトを当ててくれる、ようさんの灯りを頼りに
腕と足をプルプル震わせながら、なんとか塗っていく。
「ここ塗って最後だわ」
わりと塗りやすいであろう箇所を最後に残し、
その箇所を皆に見せた。
「よーし、じゃあ帰る準備でもすっか」
脚立の下で僕を塗り終わるのを待っていた皆が腰を上げる。
僕も合わせて塗る位置を変えとうと思ったその時。
脚立がバランスを崩して道路の方に傾いた。
やばい!!!
すぐさま看板に捕まろうとしたが、
塗り立ての看板が台無しになるのではないかと、
一瞬ためらい、その分反応が遅れ、
僕は道路に脚立と塗料とハケと共に崩れ落ちた。
グキ。
着地はギリギリで足からいけたが、案の定足首をひねり
何とも言えない鈍い音がした。
痛い、痛い、痛い。
「だ、大丈夫か?」
皆は何が起こったか分からないといった感じだったが、
すぐに事の重大さに気がつき、安否を気遣ってくれた。
「うん、なんとか。でもめっちゃイテー。」
立とうとしたが、激痛で起き上がれず、
皆の手を借りた。
「折れてんじゃない?すぐに医者にいこう」
。。。。。。
この時、既に感覚で折れているのが分かった。
冗談じゃない。
もうすぐお店のオープンだ。
長年目標にしてきた念願のお店のオープンだ。
皆が貴重な時間を使ってくれて、
なんとか作り上げた大切なお店のオープンだ。
こんな足でオープンを乗り切れるだろうか。
しかも、まだオープン前にやり残している事だって沢山あるんだ。
僕は心底、自分の最後のツメの甘さ。
注意力の無さを恨んだ。
あぁ、神様。
いや、シスター。
どうか、、、どうか夢なら醒めて下さい。。。。。。。
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と思ったら、醒めました。
えぇ、「夢」でした。笑
もちろん予定通り4日はレセプション。
5日は待望のオープンです。
是非、皆様お越し下さい。。。。。
ってどんだけ前置きなげーんだよ。
「忙しい」とか言っときながらヒマだなオレ。笑
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より大きな地図で SISTER を表示
というか、あとは什器の配列や掃除、洋服を陳列するのみ。
忙しすぎたこの数日を振り返りながら、
近くにあるワンコインの自販機で買ったコーヒーを片手に
皆で一服。
もう夜の十二時を回っていた。
毎晩毎晩遅くかかった内装工事もようやく終わりが見えてきた。
初日から想像がつかないくらいの変わりっぷり。
思えばよくここまでやったもんだ。
さーて、一服してゴミを捨てたら帰ろうか。
と、その時、
「看板は?」
コーヒーをいち早く飲み終え、
一人よくわからない自前の鼻歌を口ずさんでいた翼が口を開く。
しまった。
他の作業に気を取られすっかり忘れていた。
店の顔でもある看板。
実は今回の内装作業を始めるにあたり、
何よりも先に手をつけたのが、何を隠そうこの「看板」なのだ。
すぐに終わる作業かと思いきや、
思うように進められず、苦戦したが、
なんとか、残るは塗装と「SISTER」のロゴをのせるだけって所で
関根が「それは最後にしね?最後に看板やってお疲れ様でした〜的な感じで」の
言葉に共感し、「最後のお楽しみ」にとっておいたのだ。
一番おいしいものは最後に食べるのが癖になっている僕は
そのまま看板を放置し、他の作業に取り掛かっていた。。。
「そうだね、看板はすっかり忘れてた。
じゃあみんな、申し訳ないけどもう少しだけ付き合って。
何とか今日中にこの看板も仕上げたい。」
この時僕には最後の最後までとっておく余裕は無く、
やれる事はなるべくやって「安心」したかった。
とにかく時間が無い。
「おっけー。じゃあやりましょうか。」
みんなほんとごめんね。
そしてありがとう。
この一ヶ月、
何度心の中でこの言葉を繰り返しただろう。。。。
看板は店の屋根の高さと同じに位置に設置してある。
もちろん届かないので、昔「庭師」をやっていたじいちゃんから
借りてきた約2メーターくらいの高さの脚立を使って作業を再開した。
今回の内装では僕はほとんど塗装役に徹していた。
まずは見た目からってことで
春にカズ君のお店で買ったLeeのオーバーオールを引っぱり出し
ひたすら塗る、塗る、塗る、塗る。
ほぼデットストックといっていいくらい綺麗だった
このパンツも今やペンキでごっちゃごっちゃになっている。
この汚れも一つの勲章のような感覚で今や自慢の一本と呼べる
パンツになった。
「加工」じゃなくてリアルな汚れだもんね。
けっこう意識してわざと汚した箇所もあったが
知ったこっちゃない。
お店が完成したらレジの辺りにでも
「この店の内装中に穿いていたパンツ」
ってな感じで堂々と飾ってやろう。
時計の針が一時を回った。
二つある看板の内、一つが終わった。
もうこの時間になるとこの辺りは
飲み屋から帰る人がけっこう頻繁に通る。
歩行者に迷惑のないよう、邪魔にならぬよう脚立を置いて
二つ目に取り掛かかった。
二つ目は取り付けてある位置が微妙なので
塗装がとにかくやりづらい。
場所によっては、片足でギリギリで立ってようやく届く、といった感じ。
下からライトを当ててくれる、ようさんの灯りを頼りに
腕と足をプルプル震わせながら、なんとか塗っていく。
「ここ塗って最後だわ」
わりと塗りやすいであろう箇所を最後に残し、
その箇所を皆に見せた。
「よーし、じゃあ帰る準備でもすっか」
脚立の下で僕を塗り終わるのを待っていた皆が腰を上げる。
僕も合わせて塗る位置を変えとうと思ったその時。
脚立がバランスを崩して道路の方に傾いた。
やばい!!!
すぐさま看板に捕まろうとしたが、
塗り立ての看板が台無しになるのではないかと、
一瞬ためらい、その分反応が遅れ、
僕は道路に脚立と塗料とハケと共に崩れ落ちた。
グキ。
着地はギリギリで足からいけたが、案の定足首をひねり
何とも言えない鈍い音がした。
痛い、痛い、痛い。
「だ、大丈夫か?」
皆は何が起こったか分からないといった感じだったが、
すぐに事の重大さに気がつき、安否を気遣ってくれた。
「うん、なんとか。でもめっちゃイテー。」
立とうとしたが、激痛で起き上がれず、
皆の手を借りた。
「折れてんじゃない?すぐに医者にいこう」
。。。。。。
この時、既に感覚で折れているのが分かった。
冗談じゃない。
もうすぐお店のオープンだ。
長年目標にしてきた念願のお店のオープンだ。
皆が貴重な時間を使ってくれて、
なんとか作り上げた大切なお店のオープンだ。
こんな足でオープンを乗り切れるだろうか。
しかも、まだオープン前にやり残している事だって沢山あるんだ。
僕は心底、自分の最後のツメの甘さ。
注意力の無さを恨んだ。
あぁ、神様。
いや、シスター。
どうか、、、どうか夢なら醒めて下さい。。。。。。。
と思ったら、醒めました。
えぇ、「夢」でした。笑
もちろん予定通り4日はレセプション。
5日は待望のオープンです。
是非、皆様お越し下さい。。。。。
ってどんだけ前置きなげーんだよ。
「忙しい」とか言っときながらヒマだなオレ。笑
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